いきいき百歳社会

背景課題と研究テーマ

人生100年時代と言われるような長寿社会が到来していますが、身体が健康な状態でなければ、人間らしい豊かな社会活動は困難です。いつまでも健康な状態を保つためには、健康医療情報の取得から病気の予防、ウェルビーイングの実現、健やかな生活習慣の形成が欠かせません。本研究テーマでは、百歳まで健康でいられる社会の実現という目標のもと、生体内外の時空間センシング・健康増進・予防・最適介入の研究開発を行います。

1)40代〜50代から実施するもの

  • 介護予防
  • フレイル対策、認知症予防システム
  • 低侵襲治療、ナノロボティクス、再生医療

2)生涯を通じて実施するもの

  • 体外環境センシング
  • 健康状態センシング
  • 健康医療情報・行動経済学に基づく健康増進
  • 疾病予防・重症化予防システム
  • ウェルビーイング
  • 健やかな生活習慣形成

人生100年時代における健康社会の実現

共同研究の具体例

幹細胞標識用超低毒性量子ドット「Fluclair™ 」

非常に小さい特殊な半導体である量子ドットは、FITC、Cyなどの蛍光色素やGFPなどの蛍光タンパク質よりも高輝度で長寿命の蛍光物質です。Fluclair™は、コア領域にカドミウムを含まないので、これまでのカドミウムを含む量子ドットと比較して極めて細胞毒性が低いことが特長です。そのため、細胞内イメージングや、Fluclair™を導入した細胞の移植後のin vivoイメージングを行うことができます。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの支援を受け、本機構の研究グループと株式会社村田製作所の共同研究により開発され、富士フイルム和光純薬株式会社が販売しています。

製品詳細Webサイト

提供価値

新たな時代に向け、異分野に事業展開したいという株式会社村田製作所様のニーズと、再生医療現場での課題から、生体・医療領域でのイノベーションが求められました。本研究により、超低毒性の量子ドットを用いることで、蛍光イメージングを実現し、移植細胞の生体内動態、組織・臓器への集積・生着効率を正確に診断することが可能になりました。研究開発から製品化まで実現し、再生医療の現場での活躍が期待されています。

本研究の強み

生体・医療領域のテクノロジーによる研究開発を行うことが求められる場合、単に製品開発を行うだけでなく、生体内での動作評価を行い品質改善に反映させることが重要です。製品開発部門と、生体における評価部門が連携できる研究機関は珍しく、本学の強みです。